「ワールドヒーローズ 激闘英雄伝」
  作者インタビュー







皆さんは、「ワールドヒーローズ」が全盛期の頃に児童誌「コロコロコミック(小学館)」にてマンガが連載されていた事をご存知でしょうか?

良い意味、悪い意味でも「餓狼伝説」の「コミックボンボン版(講談社)」のコミカライズはある意味有名になってしまいましたが



「ワールドヒーローズ 激闘英雄伝」は、名作です!!





「ワールドヒーローズ」は、もともとアーケードゲームですので既に児童誌を卒業している当時中高生以上のワーヒーファンは意外に
見過ごしている事のあるこの作品、実は今読んでも児童誌の連載作品とは思えないほどの熱さとシリアスさで魅了されます。



         


今回は、その「ワールドヒーローズ 激闘英雄伝」の作者「かとうひろし」先生に貴重なお話を聞かせていただける事になりました。

シリアスな熱いヒーローマンガとして生まれた、もう一つの「ワールドヒーローズ」に迫ります!




 
   管理人
: この度はインタビーの了承有難うございます!

         では、早速ですが最初に「ワールドヒーローズ」の「コロコロコミック(小学館)」での連載の経緯等を
         お教えください。
 
 

 かとう先生: 「仮面ライダーSD疾風伝説」連載終了後、担当さんが持ちかけてくれた企画でした。
 
         「こういう話(SNKからコロコロでコミカライズ希望)が来ているが、かとうさんやります?」
          ゲーム自体は知らなかったのですが、もちろん「やらせてください」とお願いしました。


 



 仮面ライダーSD疾風伝説


  
   管理人
: コロコロ読者でしたので「仮面ライダーSD疾風伝説」私も読んでいました。コミックボンボン連載のSD
         ライダーと比べてシリアスで重厚な雰囲気があった作品と記憶しています。 この作品の次に持ちかけ
         られた企画だったのですね。

         では、当時のコロコロでは何故数ある対戦格闘ゲームのマンガに「ワールドヒーローズ」を選んだので
         しょうか?
 
 
 かとう先生: 当時のコロコロは、ゲーム会社にとって宣伝媒体としてはかなりの価値があるメディアだったようで、
         様々なゲーム会社から自社ゲームのコミカライズ化の要望があったようです。
 
         ゲーム会社側の「売り込み方」が上手かったからだろうと推測しています。


   管理人: 売り込み方ですか。ADKと言うよりSNK側の売り込み方が上手かったと想定できますね。


         かとう先生の「ワールドヒーローズ」初見の印象はどう思われましたか?
         一番印象に残っている事、キャラクター等をお教えください。

         

 かとう先生: 登場キャラクターがかなり個性的だと思いました。

          印象的だったのは「マッドマン」。  あんなデカイ面をつけてるなんて、どう見ても変。
 





やはり、マッドマンは印象的なキャラクターのようです。




   管理人: かとう先生は執筆前の段階で「ワールドヒーローズ」という作品をご存じなかったとの事ですが連載に
         あたって、「ワールドヒーローズ2」を実際どの程度プレイして作画にあたっていたのでしょうか? 

         


 かとう先生: コミカライズの話が回ってくるまで、知りませんでした。 もちろん全くプレイしたこともありませんでした。
         
         ワールドヒーローズを描くに当たって、ゲームをプレイしたことがないと困るということで、 編集部の方
         からネオジオとソフトを提供してもらいました。
 
         その他、キャラクターの資料のコピーなどをもらったように記憶しています。

            









まさかのNEOGEO版でのプレイだったそうです


 

   管理人
: !! 編集部からネオジオとソフトが提供されたのですか! これは小学館さん太っ腹な対応です。
          てっきり連載中に発売となったスーパーファミコン版を参考としている物と考えておりました。 
 
          プレイしたと言う事は、かとう先生は各キャラクターのエンディング等も見られたのでしょうか?
  
         


 かとう先生: アクションゲームは苦手(ド下手)だったので、エンディングを見ることはできませんでした。

            
 
 

   管理人
: このインタビューのお話を了承して頂く前に話題に出たことなのですが、当時ADK側が戸惑っていたと
         のお話をお聞きしましたが、どの部分等で戸惑っていたと感じたのでしょうか? 

         また関係者(SNK側・ADK側)等とのやり取りはありましたか?
  
         


 かとう先生: キャラクターを私独自の設定に変えていたので、第1話で「マッスルパワー」が悪役として登場した
          ことに驚いていたという話を担当さんを通して聞きました。
   
          関係者と直接に接触することはなく、全てコロコロ編集部の担当さんに経由でした。

            
 








「激闘英雄伝」での「マッスルパワー」は悪役として登場
第1話目のハンゾウとの最初の対戦相手となります。






   管理人
: 連載中に当時ADK側、またはSNK側からの注文やNGな表現等はあったのでしょうか?
  
         



 かとう先生: 連載中にNGや注文は全くなく、かなり自由に描かせていただきました。
         
          読者からいただいたファンレターの中にこんなことが書いてありました。
         「ゲーム制作会社に勤めている友人が、いいマンガ家さんに描いてもらって良かったと言ってました。」と。
          これ、とても安心したし嬉しかったのを覚えています。



   管理人
: 稀にゲームコミカライズのマンガの中でも、全然プレイヤーのイメージと会わない作品がありますが
         「ワールドヒーローズ 激闘英雄伝」は既存のワーヒー像とは違っていても世界観を壊さず熱い作品に
         なっていて子供ながら驚いておりました。


         私は当時読んでいて、作風が同時期の他のコロコロ作品より対象年齢が高いように感じましたが、
         これは小学生以上の読者等をも意識しての事だったのでしょうか?
  
         


 かとう先生: 特に意識していませんでした。
         
          コロコロコミックに描いている私の作品は「対象年齢が高い」と言われることが多いのですが、
          これが私の作風なのでごく自然に描いていました。
          小学生は、ちょっと大人びた内容にドキドキしたりします。

          それらを含めて「児童マンガ」というものだという考え方をしています。






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対象年齢が高いと感じたのは、かとう先生の作風との事でした





   管理人: 連載当時のコロコロコミック読者の反応はどのような感じだったのでしょうか?
  
         


 かとう先生: 「ワールドヒーローズ」のファンの方からは、熱烈のファンレターをいただきとてもありがたかったです。
 
          二次創作として出されている同人誌などを、ファンレターと一緒に送っていただくこともあり、期待を
          裏切らないマンガにしなくちゃ・・と毎回気が引き締まりました。



   管理人: 二次創作の同人誌まで届いていたのですね。 90年代前半は格闘ゲームブームの全盛期だったのですが、
         かとう先生は当時このブームを執筆中にどう感じましたか?
  
         


 かとう先生: 私はもっぱらRPGの方にのめり込んでいたタイプなので、特に関心はありませんでした。


   
   管理人
: 当時、学童誌コミックボンボンでは同時期に同じくネオジオの対戦格闘マンガ「餓狼伝説」(細井雄二先生)
         「サムライスピリッツ」(島本和彦先生)が連載されておりましたが、意識された等ありましたでしょうか?

         また、同時期他の「ワールドヒーローズ」作品をコミカライズされた、
         雑君保プ先生、蜂 文太先生の作品を意識された等もありましたでしょうか?


 かとう先生: もちろん気にはなりましたしチェックもしましたが、私は「私のマンガを描く」だけでしたので、
         特別「意識する」ことはありませんでした。





   管理人
: ご回答有難うございます! では、作品ストーリーについてお伺いいたします。

         オリジナルゲーム版の「ワールドヒーローズ」では、各キャラクターが対戦相手の時代にタイムスリップ
         して対戦となりますが「激闘英雄伝」では荒廃した一つの世界に集められての戦いとしたのは何故なの
         でしょうか?



 かとう先生: ゲームと違ってストーリーマンガの場合は、時代背景や場所が変わるとその都度世界観や状況を描く
          必要が出て来るため、読者が混乱を起こす可能性があります。
 
         一つの世界観で統一して、ストーリーをシンプルにした方が分かりやすいという理由です。



   管理人: 確かに毎度毎度タイムスリップしていると読者が分かりにくいかもしれません。納得がいきました!










ハンゾウ達は「西暦××××」に集められワールドヒーローズに挑みます。






   管理人: 先程のお話の中で少し出てきましたが、第1話目にて「マッスルパワー」が明確な悪役の敵キャラクター
         として登場させたのは何故でしょうか?



 かとう先生: 当時プロレスにハマっていたので、プロレスラーと忍者はどういう戦いをするのか、自分が見たかった
         という単純な理由です。

         プロレスとなれば、ハンゾウの敵は「ヒール」として登場しないとプロレスとして盛り上がりませんから、
         「マッスルパワー」には悪役(ヒール)になってもらいました。










と言う理由で悪役になってしまった様です





   管理人: 作中には、「ジョー」というオリジナルキャラクターの少年が登場しますが、これは学童誌連載の読者への
         感情移入を含めてのキャラクター配置だったのでしょうか?       



 かとう先生: ワールドヒーローズの世界を解説する案内役がどうしても必要になり、ゲーム内容に影響を与えない
         オリジナルキャラとして登場させました。

         読者への感情移入を狙って描いたわけではありません。
         あくまで解説・案内人です。










オリジナルキャラクター「ジョー」は解説・案内人の立ち位置でした





   管理人: 「ワールドヒーローズ」のキャラクターは俗に言うイロモノ的なキャラクターが多いのですが、その点を
          利用したギャグのテイストを入れなかったのは何故なのでしょうか?



 かとう先生: シリアスな熱血ストーリーを描きたかったので、イロモノ的なキャラとしてのギャグは封印しています。

          カッコいいキャラをひたすら描きたかったのです。



   管理人: 
「ワールドヒーローズ」なのにギャグ的な要素がない事に最初は驚くのですが、ひたすらキャラクター達が
          カッコ良くシリアスな展開が大好きでした!

          かとう先生の「激闘英雄伝」では登場キャラクターが全てカッコ良く描かれており、もともと
          のゲーム版「ワールドヒーローズ」と一部のキャラクターの性格付けが異なっておりますがゲーム
          版の忍んでいない忍者なフウマ、高飛車なジャンヌ、変質的なキャラ付けのラスプーチン等は最初
          の段階から変更するつもりでストーリーを組んでいたのでしょうか?




 かとう先生: 「ワールドヒーローズ」のゲームファンには申し訳ないのですが、登場するキャラクターは、私が描きたい
          「ワールドヒーローズ」を盛り上げるためのキャラクターに設定し直しています。


          パラレルワールドとしての「ワールドヒーローズ」だと割り切って、かとうマンガを描かせてもらいました。




   管理人: 
「ワールドヒーローズ」の世界感はタイムマシンありきなので、平行世界の別の時代の物語と思って、
          私は読ませていただいております。 こんなフウマ、ジャンヌ、ラスプーチンが存在していても良いなぁと
          感じています。










打倒ハンゾウにストイックで、軟派じゃなくて情に厚いフウマ








女王様キャラではなく、悲しい過去を持ったジャンヌ








あの、ラスプーチンですらカッコ良いのです






   管理人: 
「ワールドヒーローズ」が他の対戦格闘ゲームと大きく違っていた「デスマッチモード」の要素は取り入れる
          予定等はあったのでしょうか?




 かとう先生: 「デスマッチモード」を特に意識したわけではありませんが、それに該当するような「戦い」を意識して
         「ジャンヌ対シュラ」は描いたような記憶があります。










ジャンヌ対シュラ戦は「金網デスマッチ」ステージに近い戦いが繰り広げられました





   管理人: キッドの鷹(ロビン)やエリックの息子(ジョン)等ゲーム版設定とは違う名称でキャラクターが登場
         しますが、ADK側・SNK側より名称の資料提供などは無かったのでしょうか?

         また、劇中に登場するオリジナル技「光輪こだま返し」「裂光光輪渦斬」等も特にNG等は出なかった
         のでしょうか?



 かとう先生: 資料提供はほとんどなかったと記憶しています。
          提供されたキャラクターの絵から、私なりのイメージを膨らませてああいうキャラクターにしました。

          全くNGは出ませんでした。










オリジナル技などは全くNGが出なかったようです





   管理人: 
物語の中に登場するヘイトレッド(憎悪)エネルギーという値が登場しますが解る人達の中で稀に
         話題となる、リョウコのヘイトレッドエネルギー値が1900とマッスルパワーの倍以上あるのは何か
         その後の構想等があったのでしょうか?

         リョウコファンの方が出番が少ないと嘆いておりましたが読者対象が男の子ゆえの処置だったので
         しょうか?




 かとう先生: マッスルパワーに圧勝するなら、倍以上ないとつじつまが合わないという位の気持ちで設定しました。
 
          リョウコファンには申し訳なかったと思いますが、他のキャラクターの面白さが圧倒的だったので、
          ついつい出番が少なくなってしまいました。






  




稀に話題となる事のあるリョウコの
ヘイトレッドエネルギーが高い理由が判明しました





   管理人: 最終対決となるネオギガス戦は14人対ネオギガスという構図でバトルが繰り広げられますが主人公の
         ハンゾウとネオギガスが1対1の戦いではなく、この様な形にしたのは何故なのでしょうか?  




 かとう先生: 登場する全てのキャラクターが魅力的だったので、最後は総力戦で戦わないことには、私自身が納得
         できませんでした。

         ネオギガスの圧倒的な強さを強調するためにも、全員で立ち向かうシチュエーションが必要だったのです。




   管理人: 
私は全員の共闘が見れる、この展開はとても熱く感じております! 










14英雄VSネオギガス
最後は熱い総力戦でネオギガスと戦います





   管理人: 「激闘英雄伝」は「ワールドヒーローズ2」をベースとしておりましたが、最後の敵はネオギガスとなってい
          ます。単行本1巻の冒頭にDIOのシルエットが数コマ登場しているのですが、本来はDIOが最後の敵に
          なる予定だったのでしょうか?




 かとう先生: 「打ち切り」という大人の事情で中途半端な終わり方になっていますが、続いていれば最後の敵は冒頭の
          シルエットのキャラになったと思います。


          続く限り延々と描き続けたかったのですが、「大人の事情」には逆らえなかったという事です(残念です)。










大人の事情がなければDIOとのバトルがあったようです






   管理人: 執筆に当たって苦労した点などのエピソードをお教えいただけないでしょうか?
         
         また、かとう先生の中で登場人物中で一番思い入れのあるキャラクターは誰でしょうか?




 かとう先生: 特にありませんでした。それぞれのキャラクターをノリノリで描けました。


          キッドはカッコイイですね。




   管理人: ご質問が長くなってしまいましたが、最後に当時の読者や今もなおファンの方々に対して何か一言宜しく
         お願い致します!





 かとう先生: ゲーム内容とは似ても似つかない「熱血アクションヒーローマンガ」でしたが、「このマンガが好き!」
          と言っていただいたファンの皆様に改めて感謝です。

          本当にありがとうございました。




   管理人: かとうひろし先生、お忙しい中ご質問にお答え頂き有難うございました!!









「ワールドヒーローズ 激闘英雄伝」 かとうひろし先生へのインタビューでした。



イロモノ対戦格闘とも言われる「ワールドヒーローズ」が、熱血シリアス路線で繰り広げられる熱いマンガとなった「ワールドヒーローズ 激闘英雄伝」
ゲーマーの知っている「ワーヒー」像とは違う「ワーヒー」像でありながら、「ワーヒー」ファンの心を掴むもう一つの「ワーヒー」
興味をもっていただけたでしょうか

まだ、本作を読まれていない「ワーヒー」ファンの方は是非読んでみてください!
「ワーヒー」の世界観を壊すことなく熱いキャラクター達の姿が見られます。




様々なキャラクターが登場する「ワールドヒーローズ」の世界観をコミカライズして素晴らしい作品にして頂いた、かとう先生に感謝いたします。