その8 完璧なパーフェクトが全然存在しない?




                                           
「ワールドヒーローズ」シリーズ第4作目「ワールドヒーローズ パーフェクト」の
ネオジオCD版には2つのバージョンが存在している事をご存知でしょうか?


コレクター間でも、以前紹介した「マジシャンロード」のバージョン違いと
比べると認知度が低く、某有名ショップの店員さんも詳しくは知らなかったりします。

今回は、このネオジオCD版「ワールドヒーローズ パーフェクト」の違いと
バージョンが2つ何故に存在しているかを説明していきたいと思います。











ネオジオCD版「ワールドヒーローズ パーフェクト」は、比較的ロット数の多いタイトルです。
中古市場でも、それなりに見つかります。
某有名ショップさんでは1000円買い取りだそうです(2019年9月現在)


ヤフオク等の中古相場でも、1000円〜1500円(2019年9月現在)
ぐらいで取引されていおり「オーバートップ」等のレアタイトルと比べると比較的入手が
簡単なのですが… 実はバージョン違いがあり2種類の固体が存在しています。









ネオジオCDソフトは再プレスされない?





ネオジオCDは単一ロットで、ソフトの再プレスが無いと言っていたショップの方がいたのですが
どうやら、この発言は間違いでソフトによっては再プレスがかかる場合が存在するようです。


それは、2パターンと思われます。


@ 「需要があり、品薄でメーカー側に再生産の依頼があった場合」

A「不良品で交換が発生した場合」




ADK製品の場合


@のケースは「ティンクルスタースプライツ」が該当しており、後にSNKからの依頼で
再プレスがかかっており増産されています。


今回取上げるネオジオCD版「ワールドヒーローズ パーフェクト」はAのケースとなります。


では、Aのケース「不良品で交換が発生した場合」とはどういう事でしょうか?


自分のネオジオCD版「ワールドヒーローズ パーフェクト」に不良品はないと思っている方は
まず、下記の「仮納品書」をお読みください。







これは、ADKより送られてきた「仮納品書」になります。










交換理由に 「不良の為の無償交換品」 と書かれています。

この文面を見る限りADK側の公式で
「ワールドヒーローズ パーフェクト」には確かに「不良品」が存在している事になります。










また、交換には3週間ほど時間が掛かりました。

これは、1995年 8月4日に ADK側より不良品の代替品が届いた際の手紙です。











どこに不具合があるのか?





自分の「ワールドヒーローズ パーフェクト」には、不具合は全く無いとの意見があると思いますが

一見して普通にプレイしている分には、この不具合(バグ)はスルーされる可能性があります。
実際、当時も多くのプレイヤーが気づいていない状況でした。



不具合(バグ)は、どのようなものだったかと言いますと



ネオジオCD版「ワールドヒーローズパーフェクト」には

@ アーケードと同じ標準モード「MVS」

A ネオジオCDオリジナルモードの「CD」

B 対戦専用モードの「VS」


が選択可能です。



コチラのモード選択時、AネオジオCDオリジナルモードの「CD」を選択した場合に不具合(バグ)が発生します。



「CD」オリジナルのモードとは?

ネオジオCD版用にオリジナル要素を加えたモードの事
追加・変更点としては、


● 開発時に存在していた「飛び道具そらし」の追加

● ミニマムモードの仕様変更

● ADK開発スタッフによる描き下ろし「おまけまんが ラスプー! チコ」が追加


等が実装されています。



コチラのネオジオCDオリジナルモードで、下記の行動をすると
「不良品ロット」では、不具合(バグ)が発生します。



@ CPU戦で呂布奉先(リョフ)を選択
 ↓
A NEO-DIOから2ラウンド取り勝利する
 ↓
不具合(バグ)が発生



不良品 ゲームが停止
 「CD」オリジナルモードで
 呂布奉先(リョフ)でクリア時に
 ゲームが停止し、ネオジオCD
 起動画面へ強制移行する。 
修正版  「CD」オリジナルモードで
 呂布奉先(リョフ)でクリア時に
 適切なエンディングが鑑賞可能

 「おまけまんが」も鑑賞可能




この、部分が「不良品ロット」「修正版ロット」の違いです。
アーケード版「MVS」モードのみで、ネオジオCDオリジナルモードをプレイしなかったプレイヤーは
気づくことのない不具合(バグ)でした。


この不具合(バグ)は、当時「ADKテレフォンサービス」や「ネオジオフリーク」等では告知が
一切されなかった為、特に大きな話題とはなりませんでした。






また、実際 呂布奉先(リョフ)でゲームをプレイして検証も出来ますが、ディスク外観でも判別が可能です。
ディスク内面のわっか部分の刻印を見てみますと英数字が記載されています。
この英数字から



「B01」不良品ロット 製造  (最終ファイル更新日 1995 07 01 5:55)

「B04」修正版ロット 製造  (最終ファイル更新日 1995 07 22 3:45)



 「B01」不良品ロット 「B04」修正版ロット 




とディスク外観から中身の違いが確認できます。









何が起こっていたのか?





何故このように2つのバージョンが存在する事となったのか
この不具合(バグ)による、バージョン違いについて詳しい関係者にお聞きしてみました。



これは、工場自体のプレスミスでは無く内部データ的なものだったようで


ネオジオCD化はほとんどが読み込みプログラムの仕様変更作業で、
プログラマーの一部とエディター1人、音響課、デバッグ専門の品質管理課だけで移植作業が行われていたそうです。



この頃(1995年頃)からSNK側がネオジオCD用のおまけを付ける事を強制してきたので、
4コマ漫画やミニマムモードなどを入れ込みCDモードが付けられたようです。


この不具合(バグ)はソフト発売前に報告され、即日対処したのらしいのですが、
工場では既に製造が始まっており、差し替え用として再度修正版を工場入れしたそうです。


ですが、ユーザーからADK側への交換の返品依頼は少なかったらしいです。





つまり、この「B04」修正版ロットを所持しているのは、このゲーム「ワールドヒーローズ パーフェクト」
のネオジオCD版を発売当時に遊びこみ、不具合(バグ)を見つけだし
かつ、当時ADK側に交換を申し込んでまで修正版を手に入れたかったプレイヤーのみが所持できたと言う事となります。

と、いうことは、かなり条件的には絞られる入手度と思われます。


あと、何気にこの一件は旧SNK側の要求によって起こった事のような気がします。












おまけ





「修正版(B04)」は、どのぐらい世に出回っているのか?




では、市場に出た「不良品版(B01)」「修正版(B04)」の割合はどうなっているのでしょうか?
前記述の説明では、「B04」版の方が少ないという印象がありますが実際はどうなのでしょうか?



と、いう事で今回検証に使いましたのは…
自分が所持している、ネオジオCD版「ワールドヒーローズ パーフェクト」











「55枚」




今まで、管理人が集めてきた「ワールドヒーローズ パーフェクト」を全部確認します。

(未開封が4枚ありましたが、未開封では外観から判別出来ない為に省きましたので厳密には51枚のチェックです。)



確認したところ「修正版(B04)」版は51枚中…










「たったの2枚」

(内1枚は当時自分でADK側に交換してもらった物です。) 





今回の検証結果で「ワールドヒーローズ パーフェクト」の「修正版(B04)」は約50枚中
2枚と言う結果となりました。



もしかしたら、自分の入手状態に偏りがあったのかも知れませんが
これは、思った以上に「修正版(B04)」の現存固体数が少ないのでは無いでしょうか?

あと、何気にネオジオCDコンプリートの道が険しくなった気もします。



皆さんも、お持ちのネオジオCD版「ワールドヒーローズ パーフェクト」を確認してみてください。